風船で組み立てる混成軌道とフラーレン

balloon-sp3-hybrid-orbital
実際に風船で作ったsp3混成軌道

満州事変の勃発した1931年、のちにノーベル化学賞(1954年)と平和賞(1962年)を受賞するアメリカの化学者、ライナス・ポーリング(Linus Pauling)によって混成軌道(hybrid orbital)の概念が初めて提唱されました。90年近くが経過した現在でも、混成軌道は分子の構造や反応を理解するために必須の知識ではありますが、化学に不慣れな人にとっては馴染みにくい概念でもあります。そんな混成軌道を学ぶための方法として、ゴム風船を使った混成軌道の作り方(by Flinn Scientific)をYoutubeで見つけました。

バルーンを使った混成軌道の組み立て

FLINNによる動画では、空気吹き込み口の結び目を使って球形の4つの風船(バルーン)を繋ぎ合わせ、sp3混成軌道を組み立てています。4つのバルーンを組み合わせると、自然にsp3の四面体構造になるのが面白いですね。

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sp3混成軌道

また、球形バルーン3つを同様に繋ぐと、sp2混成軌道ができあがります。p軌道として細長いバルーン(ペンシルバルーン)1つを組み合わせれば、二重結合を再現することもできます。

さらに、球形バルーン2つを組み合わせてsp混成軌道をつくり、ここにp軌道のペンシルバルーン2つを合わせることで、三重結合を表現することも可能です。

この方法なら、楽しみながら混成軌道について学習することができそうですし、一般的な分子模型よりも遥かに大きいので、授業で見せる際に重宝しそうですね。動画では言及されていませんが、使う風船の色を工夫すればエナンチオマー(enantiomer)の解説にも使えると思います。

フラーレンやDNAも作れます

世界にはいろんなアイディアが転がってるもんだと感心しつつ、Googleで”balloon molecular model”と検索をかけると、http://www.balloonmolecules.com/というドンピシャなドメイン名のウェブサイト”Balloon Molecules”にたどり着きました。3人のドイツ人PhD chemist(Rolf Eckhardt, Asif Karim, Marcus Rehbein)が運営するこのサイトでは、ペンシルバルーンをフル活用してあらゆる分子を組み上げています。

Rolf Eckhardt, Asif Karim, Marcus Rehbein, http://www.balloonmolecules.com

Galleryページでは、フラーレン(buckminster-fullerene)やダイヤモンド(diamond)、フォージャサイト(faujasite)、DNA(DNA helix)などの作品を見ることができますし、techniquesページでは実際にバルーンモデルを組み立てるためのテクニックが写真やGIF動画とともに詳細に解説されています。いやー、すばらしい。

Flinn Scientificの混成軌道、Balloon Moleculesの分子模型、どちらも手軽に入手できる風船が材料なので、気になる方は是非一度試してみてください。

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